ワークショップ概要 |
- タイトル: 3GPP Workshop on 6G
- 開催場所: 韓国 仁川
- 開催日: 2025年3月10日~11日
- 参加状況: 1,676件の登録、748件の対面参加、219件のインプット貢献
(オペレーター、ベンダー、学術機関、MRPなど多様な関係者から)
- 目的: 次世代無線技術、システムアーキテクチャ、コアネットワークおよびプロトコルに関する各3GPPメンバーのビジョンや優先事項の発表と議論
- 議長: Puneet Jain (TSG SA Chair)、Ronald Borsato (TSG RAN Vice Chair)、Peter Schmitt (TSG CT Chair)
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6Gの動機 (Why 6G?) |
- 新サービス・ユースケース: ISAC(通信とセンシングの統合)、XR/イマーシブコミュニケーション、AIベースのサービスなど、従来の通信を超える多様な用途を実現
- 収益成長とモネタイズ: ネットワーク機能の新たな収益化手法を模索し、異なる産業分野への展開で収益拡大を目指す
- AIと自動化: ネットワーク管理や資源配分の最適化、運用自動化を実現するためのAIネイティブネットワークの導入
- 省エネルギーと環境持続性: AI駆動の電力管理や設計段階からの省エネルギー対策で、エネルギー消費の削減と環境負荷低減を実現
- スペクトラム効率: 動的スペクトラム共有や新たな周波数帯の活用により、効率的な周波数利用を促進
- ユビキタスカバレッジ: 地上ネットワークと非地上ネットワーク(NTN)の統合により、場所を問わず高い信頼性の通信サービスを提供
- TCO削減: ネットワーク運用のシンプル化を通じて、設備投資(CAPEX)と運用コスト(OPEX)の両面からコストを削減
- サービス信頼性・顧客体験の向上: 安定した通信品質と柔軟なサービス提供で、顧客満足度の向上を図る
- ネットワークの簡素化: 複雑なシステム構成や多様な設定オプションの整理により、運用効率を高める
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6Gの目標 |
- 持続可能性: エネルギー効率向上、資源消費の削減、環境保全を実現し、社会・経済の持続可能な発展に寄与
- レジリエンス: 障害や災害に強く、柔軟に対応可能な堅牢なネットワーク設計
- セキュリティ: ゼロトラスト原則やポスト量子暗号など最新のセキュリティ技術を取り入れ、初期段階から高い安全性を確保
- 顧客体験: ユビキタスな接続と最適なQoE(Quality of Experience)を提供し、利用者の満足度を向上
- 運用効率: システムの簡素化とAIによる自動化を推進し、運用コストの低減と効率化を実現
- 相互運用性: オープンなインターフェースを通じた技術の連携と共通規格の確立により、市場の断片化を防ぐ
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5Gからの教訓 |
- 移行の複雑さ: 5G NSAからSAへの移行プロセスにおける複雑性とその影響の分析
- アーキテクチャの複雑性: 多様な構成オプションがシステム全体の複雑性を増し、展開効率に悪影響を与えた事例の検証
- 主要機能の採用遅延: ネットワークスライシング等、一部の5G機能が想定よりも普及しなかった原因の洗い出し
- 展開効率の低下: NRFプロファイルやHTTP/2 over TCPなど、プロトコル面での問題が実際の展開に与えた影響
- ネットワーク機能の最適化: 効率的なネットワーク機能のサイズ設定や、ステートレスアーキテクチャの採用検討の必要性
- 機能整理の重要性: 冗長な機能や設定を削減し、シンプルかつ効果的なネットワーク設計を目指す
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6G技術分野の候補 |
- 6Gシステム設計:
- 適正な機能セットの選定とシンプルな仕様の実現
- クラウドネイティブおよびAIネイティブ設計の採用
- スケーラブルかつモジュラーなアーキテクチャの確立
- ソフトウェア駆動型のネットワーク展開手法
- ラジオアクセスネットワーク (RAN):
- 6Gラジオインターフェースは、5G NRを基盤としつつ、非後方互換性により性能向上を目指す
- 波形、変調方式、チャネル符号化の改良で効率的なスペクトラム利用を実現
- コアネットワーク設計:
- 6G SA(スタンドアロン)アーキテクチャを基本とし、5G SBA/SBIフレームワークの拡張を検討
- 5Gとのデュアル接続(Dual Connectivity)やデュアルスタックの採用可能性も議論
- 移行/アーキテクチャオプション:
- 既存の3GPPシステム(特に5G)とのシームレスな連携
- 4Gとの連携は限定的に検討し、2G/3Gとの連携は基本的に除外
- スペクトラム考慮:
- 従来のFR1およびFR2のサポートに加え、新たなミッドバンドの活用
- MIMO技術の進化、アンテナエレメントの増加で性能向上
- AI/MLとISAC:
- ネットワーク管理、資源配分、プロトコル最適化へのAI活用
- AI/MLフレームワークのネイティブ統合
- 通信とセンシングを統合するISAC技術の検討
- エネルギー効率/持続可能性:
- ネットワークおよび端末(UE)の省エネルギー設計
- ネットゼロ目標、カーボン意識の向上、エネルギーモニタリングの仕組み
- ネットワークとコンピューティングの融合:
- 通信と計算リソースの統合によるオフロード処理の促進
- XR、デジタルツイン、AI/MLアプリケーションへの対応
- 非地上ネットワーク (NTN) 統合:
- 衛星アクセスや無人航空機等、非地上ネットワークの統合設計
- 地理的な制約を考慮した柔軟なサービス提供
- 統合データ管理フレームワーク:
- 複数ドメインにまたがるデータの収集、保存、処理、伝送の効率化
- データのトレーサビリティ、セキュリティの確保
- 音声・規制サービス:
- ビジネス及び規制上の必要性から6G音声サポートを実施
- E-callや次世代911/112などの緊急通話サービスの統合
- 法令遵守(例:CALEA)を前提とした設計
- セキュリティ:
- 全インターフェースにおける安全な通信の確保
- ゼロトラストアーキテクチャ、ポスト量子暗号、量子鍵配送(QKD)の検討
- AI/ML統合に伴う新たなセキュリティリスクへの対策
- 管理とオーケストレーション:
- 統一されたOA&Mの進化とネットワークデジタルツインの活用
- AI駆動型の自動化、予知保全、タスク自動化による運用効率化
- プロトコル面の進化:
- 制御平面、ユーザ平面、データ伝送プロトコルの最適化
- IMSシグナリングプロトコルの改良と新サービス対応
- AIエージェント間の通信プロトコルの検討
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6Gワークプラン/タイムライン |
- 初期段階: Stage-1ワークショップでIMT2030ユースケースの検討
- リリース20: 6G研究の開始と各TSG/ WGでの技術提案・審議
- リリース21: 正式な6G技術仕様の策定開始、IMT-2030提出に向けた取り組み
- タイムライン詳細:
- 2024年: オランダ・ロッテルダムでSA1 6Gユースケース・要求に関するワークショップ開催
- 2025年: 韓国・仁川での6Gワークショップおよび各WGでの技術審議開始
- 2026年~2030年: 各種技術審議、承認プロセス、ASN.1/OpenAPIフリーズの検討(最遅は2030年以降の可能性)
- 参加体制: 3GPP全体での積極的な参加と連携が不可欠
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次のステップのまとめ |
- 6G実現に向けた具体的なアクションプランの策定
- 各TSG、WG、及び関係者間での継続的な議論と技術提案の精査
- 提案技術の検討、承認、実装に向けた連携の強化
- 最新情報や詳細は www.3gpp.org にて随時更新
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