NR-NTNダウンリンクカバレッジ強化に関する議論

著者: Apple

セクション 内容
1. はじめに
  • RAN#103会合でリリース19 NR NTNのWIDが改訂され、ダウンリンクカバレッジ強化が目的の1つとなった
  • RAN1#116bis会合では、PDCCHおよびPDSCHのカバレッジ評価に関する合意がなされた
2. 議論
サブセクション 内容
2.1. リンクレベル評価
  • RAN1#116の合意に従い、ダウンリンクカバレッジ性能の3段階のリンクレベル研究が実施された
  • RAN1#116bis会合では、各衛星ペイロードパラメータセットのCNRが観測された
観察事項/提案 内容
Observation 1 2% BLERにおいて、VoIPのPDSCHに必要なSNRは、7 PRBで8回の繰り返しの場合-12.7 dB
Observation 2 10% BLERにおいて、3 kbpsのPDSCHに必要なSNRは、1 PRBで8回の繰り返しと120/1024のコーディングレートの場合-10.4 dB
Observation 3 10% BLERにおいて、1 MbpsのPDSCHに必要なSNRは、25 PRBで193/1024のコーディングレートで繰り返しなしの場合-4.9 dB
Observation 4 10% BLERにおいて、Msg2 PDSCHに必要なSNRは、スケーリングファクター1、1/2、1/4の場合、それぞれ3、6、12 PRBで3 DMRSシンボルと120/1024のコーディングレートで-6.1、-8.8、-11.2 dB
Observation 5 10% BLERにおいて、Msg4 PDSCHに必要なSNRは、23 PRBで193/1024のコーディングレートで1、2、4回の繰り返しの場合、それぞれ-4.8 dB、-7.4 dB、-10.0 dB
Observation 6 10% BLERにおいて、SIB1 PDSCHに必要なSNRは、ペイロードサイズが800ビットと1280ビットの場合、24 PRBでそれぞれ-5.8 dBと-3.7 dB
Observation 7 10% BLERにおいて、SIB19のPDSCHに必要なSNRは、24 PRBで120/1024のコーディングレートの場合-6.7 dB
Observation 8 1% BLERにおいて、PDCCHに必要なSNRは、アグリゲーションレベル8、4、2、1の場合、それぞれ-7.9、-5.5、-2.4、1.7 dB
Observation 9 1% BLERにおいて、PBCHに必要なSNRは、80 msの4つのSSBの組み合わせの場合-12.1 dB
Observation 10 LEO-600セット1-3パラメータでは、以下のチャネルにカバレッジギャップが存在する:
  • 1 MbpsのPDSCH: 5.0 dB
  • スケーリングファクター1のPDSCH Msg2: 3.8 dB
  • スケーリングファクター1/2のPDSCH Msg2: 1.1 dB
  • PDSCH Msg4: 5.1 dB
  • PDSCH SIB1: 4.1 dB
  • PDSCH SIB19: 3.2 dB
  • PDCCH: 2.0 dB
2.2. リンクレベル強化
提案 内容
Proposal 1 少なくともPDCCH、PDSCH Msg4、PDSCH SIB1、PDSCH SIB19のカバレッジを強化する必要がある。PDSCH Msg2のカバレッジを強化する必要があるかどうかをさらに評価する。
Proposal 2 PDSCH Msg4とPDSCH SIB1のカバレッジを強化するために、PDSCH繰り返しの導入を検討する。
Proposal 3 PDSCHのカバレッジを強化するために、PUSCHの性能向上に使用されるスキーム(複数スロットにわたるTB、DMRSバンドリングなど)をPDSCHに適用できるか検討する。
Proposal 4 PDCCHのカバレッジを強化するために、以下のソリューションを検討する:
  • PDCCH繰り返しの強化(システム情報をスケジュールするPDCCHなど)
  • CORESETシンボル数とアグリゲーションレベルの増加
  • DCIサイズの削減(2段階DCIなど)
2.3. システムレベル評価と強化
観察事項/提案 内容
Observation 11 LEO-600セット1-1とセット1-3のFR1では、N1=N2=0、N3=1058の場合、カバレッジ率は100%、滞留時間は2 ms、再訪問時間は20 ms、SSBとSIB1の周期性は20 ms。
Observation 12 LEO-600セット1-1とセット1-3のFR1では、N1=0、N2=846、N3=212の場合、カバレッジ率は100%、N3ビームフットプリントでの滞留時間は6 ms、再訪問時間は20 ms、SSBとSIB1の周期性は20 ms。
Observation 13 LEO-600セット1-2のFR1では、N1=N2=0、N3=1058の場合、カバレッジ率は100%、滞留時間は2.4 ms、再訪問時間は160 ms、SSBとSIB1の周期性は160 ms。
Observation 14 LEO-600セット1-2のFR1では、N1=0、N2=846、N3=212の場合、カバレッジ率は100%、N3ビームフットプリントでの滞留時間は8.4 ms、再訪問時間は160 ms、SSBとSIB1の周期性は160 ms。
Observation 15 LEO-600セット1-2のFR1では、N1=N3=0、N2=320の場合、カバレッジ率は30%、N2ビームフットプリントでの滞留時間は1 ms、再訪問時間は20 ms、SSBとSIB1の周期性は20 ms。
Observation 16 デフォルトのSSB周期を大幅に増やすと、UE実装の複雑さが大幅に増し、後方互換性の問題が生じる。
Proposal 5 RAN1は、リリース18のネットワークエネルギー節約技術(セルDTX/DRXなど)をNR NTNに適合するように修正(ビームベースの運用など)して使用し、システムレベルのダウンリンクカバレッジ強化を検討する。
3. 結論 本寄書では、ダウンリンクカバレッジ強化に関する見解を提供した。観察事項と提案は上記の通りである。

参考文献

  1. RP-240775, "Revised WID: Non-Terrestrial Networks (NTN) for NR Phase 3," Mar. 2024.
  2. Chairman's Notes, 3GPP TSG RAN WG1 #116bis Meeting, Apr. 2024.
  3. Chairman's Notes, 3GPP TSG RAN WG1 #116 Meeting, Feb. 2024.
  4. 3GPP TR 38.821, Solutions for NR to support non-terrestrial networks (NTN), v16.2.0, Apr. 2023.
  5. R1-2401993, "FL Summary #3: NR-NTN downlink coverage enhancements," Apr. 2024.
  6. 3GPP TR 38.864, Study on network energy savings for NR, v18.1.0, Mar. 2023.
  7. RP-230566, "WID revision: Network energy savings for NR," Mar. 2023.